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IoT、AI、RPAと企業規模、中小企業に成果が出るITは?

IoTやAIをはじめとしたテクノロジーがビジネスに大きなインパクトを与えるようになり、次から次へと登場する新しいテクノロジーに対して、どのように取り組めばよいか悩まれている企業や担当者の方も多いのではないでしょうか?

まず、注目が高いIoT、AI、そしてRPA(Robotic Process Automation)ですが、どのような企業が取り組むと効果的なのでしょうか?

IoTは大量のモノをインターネットでつなぎバリューチェーン全体で自動化、最適化を目指すものです。末端のモノに通信機能を持たせ、得られるビッグデータを保持し、リアルタイムに近い分析処理を行い、必要な場合にはフィードバックを行いますので、大きな予算が必要となります。

AIは膨大なビッグデータ、コンピューターの強力な処理能力があってはじめて効果を発揮します。AIの技術者も不足し、取り組む際のコストが高騰しています。

RPAは定型化できる業務量が膨大な場合に、OCRなどを活用した読み取りからデータ入力までの自動化により大きな生産性向上の効果を発揮します。

IoT、AI、RPA関連のソリューションやサービスを提供する側の企業にはスタートアップ/ベンチャーをはじめとした小規模企業も多いですが、上記のような特徴があるため、当面のユーザー企業としては大企業が向いています。

ただ、中小企業でも、何らかの部品や商品を製造/販売していて、それらが使われるバリューチェーンがIoT化すると価値が高まるような場合には、商品の訴求力が高まるのでIoTへの対応を積極的に進めると良いでしょう。

では、一般的な中小企業やITへの予算が小さい場合はどうすると良いでしょうか?

中小企業でのIT活用としては、会計や受発注をはじめとした基幹業務、ホームページ、電子メール、EC(電子商取引)、クラウド、動画、SNSなど数多くのITが登場しました。

振り返ってもっとも成果が出たものと言えば、やはり売上につながるECだったと言えるでしょう。この対応をうまく行った企業では市場が全国規模に拡大し、大きな売上増を実現しています。

基幹業務などのバックエンドは必要ですが、業務量が膨大なわけではないのでコスト削減効果も大きくは見込めず、業績向上に大きく寄与するのはやはり売上に直結するITです。

そういった観点から、中小企業やITへの予算が小さい時に現在おすすめなのはデジタルマーケティングです。従来のECに加え、インターネット広告を含めデータを最大限に活用しより統計的、ダイナミックなフィードバックを行いながら最大限の効果を狙うもので、AI技術もまっさきに取り入れられている分野です。

このデジタルマーケティングの分野では、システムの新規導入ではなく、サービスとして活用できるものも多く、小さく始められることもメリットです。

他に売上につながるITとしては、動画やSNSも大きな予算を必要としませんので、ターゲットが個人向けなど、うまく活用できる場合は大きな効果が出せる可能性があります。

中小企業や予算が限られる場合は、成果が出やすいものからITへの取り組みを進め、順次優先度の低いものにシフトしていくことも一考です。当面は大きなコストがかかるIoT、AIも次第にコストが低下して取り組みやすくなっていきますので。

変化対応のための仕組み作り

ITをはじめとしたテクノロジーが進化し、そのテクノロジーは社会に急速かつ広範囲な変化をもたらしています。社会の構造自体も流動的なものへと激変しています。変化対応は企業や個人にとって重要性を増していますが、そのための仕組みはあるものでしょうか?

まず、1つ目のステップは、変化に気付く、です。

これは当然のように思われますが、見えないところで変化が起こり、ある日突然破壊的な脅威として姿を現すケースも増えており、変化に気付くこと自体がまず難しくなっています。

今やテクノロジーはIoTに代表されるように社会の隅々まで浸透しています。変化対応が必要となるようなインパクトのある商品やサービスを提供する企業も、大企業のみならずスタートアップ/ベンチャーまで幅広くなりました。

ただ、専門的に各分野を見だすととても見きれるものではありません。幅広いジャンルの先端情報をカバーしている情報源がいくつかありますので、定期的に複数ウォッチするといいでしょう。

また、生活者の世代ごとに様々な変化が起こっており、リアルだけでなくバーチャル空間でも変化が起こっています。想像もつかなかった様なライフスタイルの変化や、価値観の変化など多々ありますので、多様な世代と交流を持ち変化の兆しをつかむ重要性が増しています。

2つ目のステップは、変化を見極める、仕分ける、です。

短期間に様々な変化が起きる現代、全てに対応するのは不可能です。

何が原因で起こっている変化か、その影響範囲や度合い、今後の見通しなど、変化の本質を見極め、自社にとって対処すべき変化かどうかを仕分けます。すぐに対処すべき変化もあれば、戦略的様子見というステータスがあっても良いです。見送るものは見送りましょう。変化に対する選球眼が求められます。

変化対応において最重要なのはタイミングです。早すぎるとコストが大きくなったり、成果が出るまでに時間を要したりします。遅いのも問題ですが、早すぎて結果的に失敗というケースも散見されます。

3つ目のステップは、変化に対処する、です。

タイミングが決まれば、あとはどの程度のリソース(予算、人員)を投入するか、誰がやるかという話になります。2つ目のステップで、変化を俯瞰したポートフォリオ(対応すべき変化の組み合わせ)のようなものができていればやりやすくなります。

社会やビジネスが複雑化、高度化し、自社だけでは取り組みを完結できないことも多いですので、誰(どの企業)と組むかも重要です。

以上、1.変化に気付く、2.変化を見極める、仕分ける、3.変化に対処する、という仕組みでした。

このアプローチは経営テーマ、ITをはじめとしたテクノロジーなど、様々な変化への対応に使えます。個人では無意識的に行っていることが多いですが、経営企画部門やIT部門などでは仕組みとして取り込むことで、変化対応のスピードや精度を上げることにつながります。

新規事業に取り組む前に

国内市場が成熟、縮小する中で、海外展開、M&A、そして新規事業の創出が大きなテーマとなっています。企業規模を問わず、どの企業でも検討しやすい新規事業ですが、実際に取り組む前に知っておくと良いことをご紹介します。

まず、新規事業の成功確率は低いものです。実際に新規事業に資金や人員などのリソースを投入する前に、既存の顧客基盤や商品などを活用してできることは残っていないかを見直してみることには価値があります。

新規事業で最も大変なことの一つに新規顧客の獲得があり、大きな労力とコストがかかります。そのため、すでに持っている既存の顧客基盤に対して何か新しい商品やサービスを提供できる余地が残されていないかを今一度検討する価値はあります。チャネルがあるのでテストマーケティングもしやすく、新しい試みの成功確率が高まります。

次に、既存顧客に提供できる新しい商品やサービスの余地がほとんど残っていない場合でも、すでに持つ自社の商品やサービスが従来は対象としていなかったような市場に形を変えて提供できないかを考えてみることにも価値があります。工業製品向けだったある商材が一般消費者向け市場に使え評価されるなど、色々と展開の可能性はありえます。

いずれの方法もすでにある自社の強みを活用して始められる試みで、小さく始めて大きく育ってくれば事業部にすることもできますし、その段階で初めて新規事業と捉えなおすこともできます。

逆に、まったく新しい新規事業を考えよ、といった指示をすると大変です。せっかく持つ顧客基盤や商品/サービスなどの自社の強みを活用できないわけですから。まったく新しく考えることでイノベーションが生まれる可能性もありますが、成功確率は低くなります。

しかしやはり新規事業を考えるしかない、といった場合、どういった人材をリーダーに任命するかということも成功に向けた大きなポイントです。

最も適しているのは創業経営者です。実際にはなかなかいませんが、そういったタイプの人材をイメージすると良いでしょう。

新規事業には多くの困難が伴いますので情熱があるかどうかが重要です。やらされているようでは成功はおぼつかず、腹の底からこれがやりたいというぐらいの情熱が必要です。そういった情熱を持つためにも、リーダーは新規事業の検討当初から関わっているべきです。

当初は限られた人員で取り組むことになりますので、リーダーはオールマイティなタイプだと良いですし、色々と動き回ることになりますのでフットワークが軽いことも大切です。色々と軌道修正を繰り返すことになりますので、過去の判断に固執せず色々な声やヒントに耳を傾けられる柔軟さも必要です。

事業の成功には、良い市場と良い経営者があるものです。良い経営者に任せられることができれば、紆余曲折があっても良い市場を見つけてくることもできます。逆にいくら良い市場に参入できたとしても、経営者が良くなければ成功には至りませんので、リーダー選びは新規事業に取り組む前に熟慮しておくポイントです。

生産性を上げる取り組みやすい工夫

働き方改革というトレンドのもと、生産性向上に向けた取り組みが経営企画部門などでは求められているのではないでしょうか?生産性向上には様々な方法がありますが、ここではどの企業でも取り組みやすい工夫を3つ紹介します。

これらの工夫は企業再生の現場などでもよく見られる工夫ですので、あまり大きな費用をかけずに短時間で成果を出しやすいと思います。

1つ目に、業務の優先順位付け、取捨選択を行うことがあります。そもそもこの業務は何のために行っているのか?と問う姿勢です。

長年のルーチン化した業務などでは、当時は意味があったものの、現在は意味がなくなってしまったまま温存されているということもままあります。優先順位の高い業務から人員をはじめとしたリソースを割り当て、優先順位の低いものでやめれるものはやめてしまいます。

他にも、大人数で会議を行うことも良くありますが、そもそもこんなに出席は必要なのか、という視点を持つとあまり意味がないこともあります。情報共有であれば他にも手段はありますし、権限移譲もひとつです。会議には多大な時間を取られますので、生産性に大きく影響します。

2つ目に、一つの作業で一石二鳥、一石三鳥と、一石何鳥を狙うやり方があります。一人のスタッフが色々な業務を行えるようにする多能工化もこの方法です。どうせ何かやるならば一度に色々とできないだろうかという考え方です。少ない経営資源で成果を上げる必要があった創業経営者の方には馴染みある考え方でしょう。

さて、ここまでは業務の効率をあげる工夫でした。次に効果を上げる工夫です。

3つ目の工夫として、てこのように小さな労力で大きな成果を得る、レバレッジをかける、という工夫があります。AIなどのテクノロジーを活用して人が行える何倍もの成果を出す、ブランディングを通じて価値を高め有利な価格設定を行う、といった方法がありますが、これらはコストや時間がかかります。

より取り組みやすいものとしては、プレスリリースなど簡単に使えるメディアを活用するといった工夫や、社内外の影響力あるキーパーソンを巻き込むといった工夫など、業務によって手段はケースバイケースですが、どこかにてこの力を得られないかと考えれば方法がある可能性があります。

取捨選択、一石何鳥、レバレッジと、どの企業でも取り組みやすい工夫を3つ上げましたが、何かのヒントになれば幸いです。

経営企画部門の強化と支援

社会と経営環境の変化が激しくなり、経営戦略の立案と実行を管理する経営企画部門に求められる役割も複雑化、高度化してきました。変化に対応し、価値を生み出していく経営企画部門の強化にはどういった視点があるのでしょうか?

市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3Cから構成されるスタンダードな競争戦略が確立された後、今日まで様々な戦略が提唱されてきましたが、競争戦略の基本は大きく変わっていません。市場、競合、自社が主要な要素なのは変わらないからです。

しかしながら、大きく変わったものがあり、それはテクノロジーです。テクノロジーの進化が加速することで、市場そして競合に大きな変化をもたらしています。

まず市場についてです。

スマートフォンに代表されるテクノロジーにより、顧客のライフスタイルが大きく変わりました。購買行動に影響を与えるメディアが多様化し、購買もリアルに加えオンラインで行われ、モノの所有からサービスの利用へと変化しています。

テクノロジーは顧客の購買行動を変えるまでにライフスタイルに浸透してきましたので、市場の分析にあたっては、進化するテクノロジーがもたらす新たな顧客のライフスタイルという視点で将来の市場を見通す必要があります。

次に競合についてです。

グローバル化により世界的な大手と競争せざるを得ない状況が生まれています。ビジネスに必要な仕組みを一元化して世界中に提供できるテクノロジーの進歩により、海外展開が従来よりもしやすくなり海外からの参入も増えています。

さらに、テクノロジーが大きく変えるものがもう一つあります。それはビジネスモデルです。新しいテクノロジーが可能とする、従来は考えもつかなかった様な新しいビジネスモデルを通じて顧客が求める価値が提供されることで、競争相手ではなかった異業種と競争せざるを得ない状況も生まれています。

そのために、異業種だと思って気にもしていなかったグローバル大手が、ある日突然手ごわい競争相手になっていた、と言うケースが散見されます。従来型の業界内の競合を分析する視点に加え、グローバル/異業種、ビジネスモデルという視点で潜在的な競合と脅威を分析する必要があります。

経営企画部門は従来の視点に加え、テクノロジーの進化を分析のベースに、顧客のライフスタイル、グローバル/異業種、ビジネスモデルという3つの視点を強化していくことで、変化に対応し新しい価値を生み出していくことが可能になります。

成長市場の見つけ方

成長戦略や新規事業の企画に際しては、成長市場を見つけるのがセオリーの一つです。成長市場は市場の成長が見込まれるため事業に追い風となりますし、市場でのポジショニングもまだ固定化していないためチャンスがあります。ではどうやって成長市場を見つければいいのでしょうか。

成長市場の見つけ方は色々とありますが、ここでは一般企業でも取り組みやすい方法をご紹介します。

まずは投資の観点からです。成長市場では投資がまず行われますし、投資が行われるということはある程度の市場が見込まれるということです。

何らかの成長市場が生み出される場合、まずはスタートアップ/ベンチャー企業が取り組みを始めているものです。個々のスタートアップの動きをウォッチするのは大変ですので、有力なベンチャーキャピタルを見つけてその投資先をウォッチすると効率的です。最近ではスタートアップやベンチャーキャピタルを取り上げる雑誌も充実してきました。

他にも投資家向けの新聞/雑誌などで、次なる成長市場、投資テーマなどと括られるようになると成長市場として立ち上がりつつあると言えます。

次にテクノロジーの観点からです。大学をはじめとした研究機関、大企業の研究部門などが最先端ですが膨大なため把握することはかなり困難です。ですが毎年行われるような世界的な見本市があります。国内ではシーテックが代表的です。そういったところではプロトタイプやデモなどが数多くありますので、実際に触れながらいち早く次の時代の萌芽を知ることができます。

他にも特定分野のプロフェッショナルが見ている様な専門誌にも成長市場は特集が組まれ始めます。感覚としてはビジネスマンが読んでいる一般的な新聞などに出てくる1年前位から出ているものですので、少なくともこの段階で把握していないと対応が遅れます。関連する分野や隣接する分野については専門誌の確認も必要です。

ここまで投資とテクノロジーの観点から見てきました。いよいよ成長市場として確立し始めたかが分かる段階として、その成長市場について市場予測レポートなどが発行されたり、特化した見本市が開催されるという段階があります。この段階では明確に市場が見込まれ参入者も明確に事業展開を行っています。大きな成長市場であったり、体力のある企業であればこの段階からの対応でもまだ間に合う場合もありますので、遅くともこの段階では把握できると良いでしょう。

新しいテクノロジーの活用に向けた検討手順

IoTやAIをはじめ、テクノロジーがビジネスに破壊的な影響を与えうる時代になり、新しいテクノロジーの活用を検討していたり、経営層から検討指示が出ていることが多いかと思います。ここでは、テクノロジーの活用を検討するにあたり基礎的な3ステップを紹介します。

まず1つ目のステップとして、テクノロジーの概要を理解するステップがあります。通常、新しいテクノロジーが出てきた場合、海外のことが多いですが、そのテクノロジーに関しての提唱者や権威がいるものです。そういったビジョナリーや企業を特定し、彼らが出している最もスタンダードとされているような書籍やレポートなどを見つけます。

そういった書籍やレポートが見つかれば、テクノロジーの概略はもちろん、テクノロジー活用を決定する上で最も重要なポイントである、何が本質的なメリットなのかといった話や、今後数年の展望なども把握できるはずです。そう言ったことが分かれば、それらは今後の検討で照らし合わせる青写真、イメージとなります。

続く2つ目のステップは、ベンダー調査です。ベンダーとは、テクノロジーに関するアプリケーション、サービスなどを提供している企業のことです。1つ目のステップでも主要な企業名や製品名などは出てきているはずですが、このステップで業界をリードするキープレイヤーとなるベンダーを数社特定します。

ベンダーを特定すれば、主要な製品群が分かりますので、それらを理解することで主要な機能を把握することができ、そのテクノロジーで何ができそうかが分かります。

3つ目のステップは事例調査です。前のステップでベンダーを見ましたが、ベンダーを見れば成功事例を掲載しているものですので、有力なベンダーを足掛かりに効率的に事例調査ができます。そのほかに漏れがない様に、自社の業界や隣接する業界などについて、海外含め何か事例がないかを調査します。事例では効果が出ていることも多いですので、そのテクノロジーを活用した場合に期待できる効果を粗々ですが把握できます。

効果的なテクノロジーの活用に向けては、自社固有の状況に基づいて評価をしなければなりませんので、他にも検討すべきポイントはありますが、ここまでの検討により今後本格的な検討に移るかどうかの判断材料になるかと思います。逆に、この段階で自社にとっては縁遠いようであれば、いくら流行っていても経過観察とするといった判断も可能です。

今までとまったく違う新商品/新サービスを作るために

業種や国内外問わず最先端の新商品や新サービスに目を向けると、従来は組み合わされてこなかった様なITやサービス、新素材など、新しい付加価値が商品やサービスに加わっています。関係ないと思っていたら大きなチャンスに乗り遅れてしまうということもあります。

一方、従来以上に新商品/新サービスの企画や開発に女性の参画を増やし、感性溢れる新商品/新サービスを展開している企業も増えてきました。一目見て時代に合っていることを感じますし、人口のおよそ半分は女性ですのでこの方向のポテンシャルは大きいものです。

コラボレーションで新しいものが生まれやすいのは、自社が前から持っていたものに、外部の全く新しい視線やノウハウが組み合わされ、化学反応が起きるからです。顧客に近い目線を外部の方が持っていることも多いので、顧客の近くで起きている新しい変化を取り込むこともやりやすくなります。

今までとまったく違う新商品/新サービスを作るポイントとしては、変化の最先端を知る、いままで活用してこなかった人材を加える、変化を知る外部の視点を加えるといったことがあげられます。

成功確率の高い新規事業

社歴の長い企業などでは本業が強く、長きにわたって本業のみでやってきたものの、既存市場の縮小を見て次なる収益の柱を作りたいということで新規事業に取り組むことも増えています。

事業は何でもそうですが、顧客を獲得するのが一番大変です。新規事業を企画するにあたっては、まっさらの状態から新規事業を考えてしまいがちです。ゼロベースから考えるという意味では拡がりや成長する可能性がありますが、顧客の新規開拓から事業を始めることになると大変です。

一方、すでに持つ既存顧客に販売できる新規事業を企画するなら成功確率は上がります。事業開始時にある程度のアプローチできる顧客基盤があるわけですし、新規事業の企画時にヒアリングをでき反応を探れますし、テストマーケティングまですることができます。新規事業が上手い企業では同一顧客に次々と新たな提案をしているのを良く目にもします。

成功確率の高い新規事業を始めるポイントとしては、既存顧客基盤向けに考えてみる、新規事業企画時に既存顧客に可能な限りヒアリングする、テストマーケティングも行い事業全体を一通り確認するといったことがあげられます。

マーケティング/販売へのIT活用

以前はマーケティングや販売に使えるITの選択肢はそれほどなく、販売管理の仕組みを入れたり、ホームページを作ったり、ショッピングモールに出店したりすれば良かったものです。

スマホの爆発的な普及とともに、プロモーションでは動画やソーシャルメディア、販売ではスマホ専用サイトやアプリまで考えないといけなくなりました。もちろんそれらのバックエンドで動いている顧客/販売管理などのシステムとの連携も考えなくてはいけません。

そのために、従来からITを担当してきた部門や人材に加えて、マーケティング、営業側の部門や人材の参画が必須になり、同じ目的に向かって一体となって取り組んでいけるかが成果を左右します。社内にITとマーケティングの両方が分かる人材がいれば救いになります。

また、昨今のマーケティングツールは高度な分析と改善ができるようになり、統計的な考え方ができる理系の素養が求められます。マーケティングや営業と言ったハイタッチな世界とハイテクの世界の融合であり、なかなか両方ができる人材はいないものです。

マーケティング/販売にもっとITを活用するポイントとしては、マーケティング・営業/IT部門間の連携、新しいツールを使いこなすトレーニングまたは人材の確保、マーケティングとIT双方を深く知るパートナーを活用するといったことがあげられます。

中小企業の大手/大企業への対抗

従来の業種や国の垣根を越えて競争が激化しています。中小企業でも大企業やグローバル企業と戦わなければならなくなったり、安泰だったニッチ市場、ローカルな市場にまで成長を追求する大手企業が参入してくるようになりました。IT化やグローバル化の時代、お客様側も大きく変化しています。

中小企業の経営戦略の定石として、局地戦となるような小さな市場を選びそこに集中する、大企業と戦うことは避け独自の路線を行く、といったものがあります。しかし昨今では様々なコストが下がり事業展開がしやすくなり、大手企業でも小さな市場に参入することが増えてきました。ニッチ市場だと思っていたら、そのニッチ市場専門で世界展開をする企業が参入してきたということもあります。

また、大企業やグローバル企業はその資金力を活かして経営戦略やブランド作り、ITに外部の専門サービスを活用したり、積極的に経験あるプロフェッショナルの中途採用を進めていたりして、戦っていくのに非常に手ごわい相手です。

中小企業が大手/大企業に対抗するポイントとしては、大手に先んじるようにスピードを高める、大手が採りそうなスタンダードな施策を想定して大手がやらないような施策をする、従来の枠組みを壊す破壊的な技術と言われるITやビジネスモデルを逆に検討してみるといったことがあげられます。

複合し、つながることでテクノロジーの進化が複利的に加速

テクノロジーの進化が加速しているとよく言う。色々な技術の実用化を見ていると想像以上に速い感覚を受ける。遠い未来でしょとたかをくくっていた未来がもうすぐ来てしまいそうだ。

スマホや、ITと融合しつつある自動車に代表されるように、様々なコンポーネントが複合されるようになった。ロボットは眼を持ち、頭脳を持つようになり、それぞれのコンポーネントがそれぞれ進化し進歩が掛け合わさっていく。複利だ。

そしてその複合したものが、IoTのようにつながるようになり、決定的に進化の加速度を上げていると感じる。複合し、つながることで、指数関数的に加速するイメージだ。一つの家電なら家電で完結したような昔ののどかな時代と違い、進化は相当に速い、さらに加速していくと思っていた方がいい。

一方、そんなテクノロジーが加速する世界からはもう降りたと、自給自足型に行く流れもわかる気がする。もし自給自足型で暮らしていければ、仕事の面でテクノロジーと競う局面がなくなり、テクノロジーの進化が加速しようがあまり関係なくなる。どこかでついていけなくなることは誰にでも起こり得るので、早めに降りてしまい影響を受けない生き方を手にするのも一つの考え方である。

製品を良くすることに尽きる透明性の時代

そろそろ雪のシーズン到来だ。SUVに関心が行く。今後セダンは絶滅しSUVが主流になるとも言われる。そこまではいかないと思うが、実際にセダンではないタクシー車両の新型まで最近は出てきた。

話はSUVに戻り、あるコンパクトSUVに関心があった。4WDではないがかなり本格的なSUVという触れ込みだ。

雪道ではどうだろうとYoutubeを見てみたら、目につく最初の方の候補に雪道での動画がある。見てみると、新雪の雪道でスタックして進まない。沢山の人が押したりもするがまるで駄目だ。あれれ、といった感じだ。

ユーザーによる動画は何の飾りもなくありのままを雄弁に物語り、説得力がある。誇張があるのかもしれないが観た人にはそこまではわからない。あれれ、となるとその瞬間に残念ながら選択肢から外れてしまう。

また、メーカーによる考え抜かれた公式プロモーション動画はせいぜい数本だが、ユーザーによる勝手なレビューや紹介動画は増える一方だ。もはやブランディングのコントロールをしたくてもそれは難しくなってしまった。

ネットや動画の普及で、ありのままが伝わる透明性の時代になった。イメージ戦略はその威力を失う方向にある。ユーザーによる動画を止めるわけにもいかないので、どこから見ても良いように製品を良くすることに尽きるのだなと感じた。

未来の社会やビジネスをイメージする方法

未来の社会やビジネスをイメージ、予想する方法がいくつかある。

まず、最も簡単だがあなどれないものとしてはSFを見ることがある。空想段階のものもあれば、予算のある大作では専門家による緻密な技術予想に基づいた近未来の描写もある。実現時期のずれはあるが、映画やアニメで描かれた世界は確実に出現している。意識的に見るようにするだけでも違うはずだ。

次に、研究室の段階がある。これは空想やアイデアを超え、形になった段階だ。今や一般にも知られるようになったMITメディアラボをはじめとした研究機関の研究発表や、先端を行く世界的企業の試作品などだ。これらは様々なエキシビションで発表されていたり、今や動画でも多数見ることができる。製品/サービスになるかはわからないがこんな技術がありこんなことが出来ますよという段階。

その次は投資の段階だ。市場があることが確認され、成長が期待される段階に入ったと言える。米国や日本のスタートアップ/ベンチャーへ実行された投資ニュースを集めたサイトや雑誌があり、それらを見ていると来るべき未来がイメージできる。この点で米国で実行されている投資は早くかつ網羅的である。シードラウンドともいうだけあって、未来への種が常に蒔かれ続けている。

生産性を上げるBPRの簡単な概説

仕事の生産性を上げるために、効果的な仕事の仕方を編み出したり、仕組み化することへの関心が高い。

今も有効な手法のひとつはBPR (Business Process Re-engineering) で、最先端のRPA (Robotic Process Automation) もBPRのひとつだ。

BPRという専門的なことを簡単にかいつまむと、まずは、一連の仕事を俯瞰し、目的のために本質的な業務を見極める。業務フローを書くことも有効だ。通常、一連の仕事には無駄な業務も含まれていたり、以前は効率的でも時間の経過とともに非効率となってしまった業務があることが多く、後で外したり代替するためにそれらも見つける。そのためには最新のテクノロジーや仕事の仕方を知っている必要がある。

次に、仕事の流れを新たにルール化、仕組み化する。ここで仕事の進め方に最新のテクノロジーを活用し、ある業務を今や可能となった他の方法で代替できないかを考える。まてよ、こうしたらというのもここだ。仕事の順序を変えてみたり、同時進行にしてみたりすることも考える。

最後に、最も大事なことは、定着、習慣化できることである。続けられなければ意味がなく、続けられるための工夫をしたり、ムリがないかを見極める。

こうして書くとそれほど難しいことでもない。事実、家庭でも最新の家電を導入したら何らかのBPRが行われているはずだ。本質的にはそれと変わらない。気楽に取り組んでみるのも手だ。

企業の社会的責任(CSR)と本業

企業の社会的責任、CSR (Corporate Social Responsibility) への取り組みが一般化した。環境、教育、福祉などの分野で、企業が保有する強みや資産を活かして様々な取り組みが進められている。

一方、我が社は本業がCSRであり、特に改めてCSRへの取り組みはせず、社会に役立つ本業に邁進するという企業もある。これは全くもって正しい。本業が社会的に役立つなら、片手間に他のことをせず本業に邁進するのが社会的使命だろう。最も力を発揮できるのが本業なのだから。

逆に、一般市民の目線で言うと、本業の企業活動の中にいささかでも疑問を持たれているような場合で、CSRに力を入れていると逆効果にもなりえる。最も目につくのは本業なので、まずはそこから何とかしてよ、もう少しやることがあるでしょうと一般市民は感じてしまう。まずは本業の企業活動を通じて社会的に良きことを全うしているかを見直してみるとどうだろうか。

未来年表の読み方のヒント

先般も書いたが、未来年表などの発刊や特集が多い。

自分や周囲の年齢を重ね合わせるなど、色々な読み方があるだろうが、より未来側から読んでみる(時間を逆行してみる)と、大局観が得られて良い。最終的な到達点のイメージができるので、ゴールに向けての段階的な進歩が見えるようになる。遅かれ早かれその方向に行く。

他にも、いくつか切り口を持つとより未来がイメージしやすくなる。テクノロジー、人口動態、各国の成長/衰退などがあげられる。それらから進化の共通項、未来に横たわる大きな潮流、フロンティアが見えてくる。また、それらの切り口で得た観点で、未来に向けた進化を確認するように日々のニュースを見ればより立体的に見えてくる。

逆に、すでに予定されているイベントよりも、突発的なイベントの方が後々振り返ってあれが時代の転換点だったということが多いので、イベントはさらっと読んでおけばいいだろう。

見えないロボットが増えている

受付ロボットや小型のロボットをはじめ、生活の中でロボットを目にする機会が増えてきた。ロボットの定義は色々あるが、人の代わりをするものとすると、その活躍範囲は見えないところで拡がっている。

急速に普及し始めているところとして、オフィスワークの中で従来は人がデータ入力などをしていた業務で、定型的なものをソフトウェアが代わりに自動で行ってしまうRPA(Robotic Process Automation)というものがある。大企業ではどんどん導入が進んでいる。目に見えるロボットが物理的にいるわけではないが、見えないところでロボットが人の代わりをし始めている。

受付ロボットなど一つの目に見えるロボットが受付なら受付の全業務を代替するものはわかりやすいが、ある業務だけを切り出して見えないロボットが代替する分野は他にも数多い。

例えば、一般的になったインターネットの検索エンジンにはロボットという別名があったくらいで、検索業務だけを切り出して司書や調査サービスを代替し始めてもう20年近い。地図アプリやナビゲーションは案内業務ロボットだし、予約手配、学習支援、資産運用まで、およそサービスというものは全てがロボット化の対象になってきている。

目に見える、見えないは別にして、気がつけば実質的にロボットだらけという社会はもうそこまで来ている。